相続の手続とは?
身近な方が亡くなられると,葬儀の準備,死亡届の提出など役所への手続を行うこととなり,
同時に相続が発生します。
相続が発生すると,遺言書があればその遺言書の内容に従って相続をし,遺言書がない場合は
相続人全員で遺産分割協議を行いそれぞれ相続をします。
そのため,相続手続きは登記はもちろんですが,その他の手続きが必要になります。
不動産を所有していなくても,手続きがいろいろとあります。
相続手続きというより亡くなった後の手続きというのが正確かもしれません。
亡くなった直後の手続き
亡くなられた直後に手続きなんてと思われるかもしれませんが,
◎死亡診断書もしくは死体検案書の手配
◎死亡届の提出
◎火葬許可申請書の提出
◎世帯主変更の届出
◎年金受給停止の手続き
◎健康保険証の返却及び資格喪失の手続き
◎介護保険証の返却及び資格喪失の手続き
などがあります。
お葬式の手配や親族・知人などへの連絡などがあり,なかなか手続きのことまで考えられないとは思いますが,
亡くなった直後から色々な手続きが必要です。
死亡診断書・死体検案書の手配
病院やご自宅で亡くなられたときは,最後の時を確認した医師から死亡診断書を交付してもらいます。
(事件・事故等で医師が最後の時を確認できない時は,死体検案書を交付してもらうことになります。)
ほとんどの方が医師によって死亡の確認をしてもらいますので,病院などで死亡診断書を受け取るというのが一般的です。
死亡届の提出
死亡した事実を知った日から7日以内に親族,同居人などが死亡届を提出します。
提出先は,亡くなった方の死亡地,本籍地,届出をする方の所在地いずれかの市区町村役場になります。
火葬許可申請書の提出及び火葬許可証の交付
死亡届と同時に火葬許可申請書を市区町村役場に提出します。
火葬許可申請書を提出すると,火葬許可証が交付されますので受領します。
(葬儀社に葬儀を依頼された場合は,葬儀社の担当者が使者として死亡届・火葬許可申請書を提出してくれるところもあります)
火葬場に火葬許可証を提出し,火葬終了後に埋葬許可証を受け取る
最後のお別れをした後に,火葬することになりますが,その際に火葬許可証を火葬場に提出し,
火葬終了後に,埋葬許可証を受けとります。
(お墓等に納骨の際埋葬許可証が必要になります)
世帯主変更届
世帯主が亡くなった場合は世帯主変更届を提出し,住民票の世帯主を変更します。
年金受給停止の手続き
年金受給者が亡くなった場合は,年金の受給を停止する手続きをします。
手続きが遅れて年金が支給されてしまうと,返還しなくてはいけなくなります。
未支給の年金がある時は,受給資格の遺族に支払われます。
(年金事務所や年金の相談センター等に手続書類を確認)
健康保険証の返却及び資格喪失の手続き
健康保険に加入している方が亡くなると,その資格を失うため年金事務所,健康保険組合,市区町村役場等に
資格喪失の手続きをし,健康保険証等を返却します。
介護保険証の返却及び資格喪失の手続き
65歳以上または40歳以上65歳未満で要介護認定を受けていた方が亡くなった場合は,
介護保険の資格喪失の手続き及び被保険者証の返却をします。
気持ちが落ち着いてからの手続き
埋葬料の請求
健康保険によりますが,埋葬料を請求すると受け取れる場合もあります。
公共料金等の解約・変更手続き
電気・ガス・水道・電話・NHKなどの公共料金の解約や変更の手続きが必要になります。
携帯電話の解約,インターネットサイトの登録解除なども必要になりますが,IDが分からないと解除できないものもありますので要注意です。
免許証・カードなどの返納手続き
免許証・パスポート等をお持ちの方は所管の官公署に返納しなければならない場合がありますので要確認です。
クレジットカードはクレジットカード会社によって違いますので,各会社に問い合わせて解約します。
(支払いが残っている場合は要注意)
亡くなられた方の所得税の申告手続き
亡くならた方によっては,所得税の準確定申告が必要になることもあります。
遺産相続の手続き
相続財産の手続きは,亡くなった方の財産を引き継ぐ手続きのことです。
財産とは
現金,預貯金,不動産,賃借権等の権利,自動車や貴金属等,株券や国債等の有価証券,
負債・保証債務,などの財産を相続財産といいます。
(負債なども財産になります)
では,財産を引き継ぐにはどういう手続きが必要になるのでしょう。
相続人の確認
誰が相続人になるか確認します。
これは一例ですが,民法によって法定相続人が決められています。
正確な相続人を特定するには戸籍の調査が必要です。
戸籍の取得
相続の手続きを行う際に,金融機関や法務局などで戸籍謄本等の提出を求められることがあります。
亡くなった方の死亡時の戸籍だけではなく,出生から死亡までの戸籍が必要になります。
本籍地を異動していなくても,出生時の戸籍,婚姻時の戸籍が必要ですし,本籍地を異動していれば,さらに転籍地での戸籍が必要になります。
(ほとんどの方の戸籍は改制されているので,改正前の改製原戸籍も必要です。)
戸籍謄本は,相続関係を証明するためのものですので必ず取り寄せなくてはなりません。
戸籍の収集は亡くなった方の出生から死亡までの人生を書面を通して確認する作業ですので,あらためてその方の人生を
振り返るには良い機会になると思いますが,ご兄弟が多い方や,婚姻等で遠方に転籍された親族がいらして戸籍の取り寄せがよくわからない,
戸籍の取り寄せを全部まかせたいという方は,当事務所が戸籍の取得を代行いたします。
お電話・メール等でお問い合わせください。
遺言書の確認
ご自宅などに遺言が保管されているか確認します。
遺言書がない場合は法定相続人による相続になります。
遺言書が保管されているのであれば,その遺言書の記載に従った相続となります。
又,その遺言書が,公証役場で公正証書として作成された遺言書であれば家庭裁判所の検認は必要ありませんが,
自筆の遺言であれば,家庭裁判所の検認が必要となるため,家庭裁判所に検認の申立をする必要があります。
(令和2年にスタートした自筆証書遺言書保管制度を利用している方の遺言書の場合,検認は必要ありません。)
相続財産の調査・確定
相続手続きの必要な財産を調べます。
亡くなった方の財産について把握されているとは思いますが,正確に財産を特定していた方が相続手続きをスムーズに進めることができます。
◎自宅にある財産
通帳,カード,権利証,登記簿謄本,株券,請求書等,借用書,消費貸借契約書,自動車
◎不動産
土地,建物など
◎デジタル財産
パソコンやスマートフォンなどの利用による,ネット銀行・証券等の財産
このように財産を確認し亡くなられた方の財産をリストアップすることで,相続財産をどうするかという次の段階に進むこととなります。
相続放棄・限定承認
相続財人は,プラスの財産だけでなくマイナスの財産も相続することになります。
マイナスの財産が多い場合は
相続放棄(初めから相続人とならなかったものとみなす)
限定承認(プラスの財産の範囲内で,マイナスの財産を引き継ぐ)
といった手続きもありますが,家庭裁判所に申述しなければならないため,
相続放棄や限定承認の手続きをされる際は,弁護士,司法書士に相談されることをお勧めします。
遺産分割協議
相続財産が確定したら,その財産をどうするかを検討します。
遺言がある場合は,原則として遺言の記載に従います。
遺言書がない場合は,法定相続人が相続することになりますが,誰がどの遺産を相続するのかを話し合います。
この話し合いを遺産分割協議といいます。
◎話し合いで相続財産の分け方が決まった時
遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書の作成を専門職に依頼することもできます。
(弁護士,司法書士,行政書士,税理士等)
◎話し合いで相続財産の分け方が決まらい時
家庭裁判所に調停等の申立をすることになります。
(相続人の間でもめることが予測される場合は早めに弁護士にご相談ください。)
各財産の名義変更等手続き
遺産分割協議の話し合いで遺産分割協議書が作成できたら,次は相続財産の名義変更等が必要になります。
◎預貯金,株券等の名義変更
亡くなられた方の銀行口座等の名義変更です。(遺産分割協議書と相続人の戸籍一式を提出,提示を求められるところが多いようです。)
◎不動産の名義変更
亡くなられた方が住んでいた土地・建物の名義変更です。
ご自身で法務局に登記の申請をすることもできますが,不安であれば司法書士にご相談ください。
◎車などの名義変更
車も名義変更が必要になります。こちらもご自身で手続きできますが,車の名義変更を取り扱っている行政書士に依頼することもできます。
相続税の申告
相続税の計算方法等は国税庁のホームページに掲載されていますので,そちらを参考に計算します。
相続税の計算をされて,相続税の申告が必要となったら税務署に申告することとなります。
なお,ご相談されたい方は税務署もしくは税理士にお問い合わせください。
メモ
相続の手続きはほとんどがご自身でできるものですので,亡くなった方に思いをはせながら行うのも良いかと思います。
しかし,現在ではワンストップで手続きが完了するわけではないので,専門家に依頼することもご検討ください。
法律や規則で取扱うことのできる範囲が決められているため,相続で争うことが予想されている場合は弁護士に,不動産の登記があって
ご心配な方は司法書士に,相続税がご心配な時は税理士に,リーズナブルに手続きを任せたいとお考えの時は行政書士にご相談ください。
当事務所では戸籍の取得を代行いたします。
◎遺産分割協議書の作成,◎お車の名義変更,◎銀行等の名義変更等
のご相談も可能ですので,お気軽にお問い合わせください。